確率微分方程式 dX=bW(t)dW の解を考える。
普通に両辺を積分すると
X(t)=X(0)+∫0tbW(s)dW=X(0)+2bW2(t)となりそうだが、b=1,X(0)=0,X(5)=10,W(5)=10 とすると
ΔX(5)=X(6)−X(5)≈bW(5)[W(6)−W(5)]=10[W(6)−W(5)]ここで W(6)−W(5)=ΔW(5)∼N(0,1) なので、0.17 程度の確率で ΔW(5)<−1,ΔX(5)<−10 となり、X(6)<0 となる。
しかし、普通の積分の解は X(6)=21W2(6)>0 となるため、矛盾する。
伊藤積分の定義で bW(t)dW を積分すると
X(t)=X(0)+k=1∑nbW(tk−1)[W(tk)−W(tk−1)]=X(0)+k=1∑nb{21[W(tk)+W(tk−1)]−21[W(tk)−W(tk−1)]}[W(tk)−W(tk−1)]=X(0)+2bk=1∑n[W2(tk)−W2(tk−1)]−2bk=1∑n[W(tk)−W(tk−1)]2ここで
k=1∑n[W2(tk)−W2(tk−1)]k=1∑n[W(tk)−W(tk−1)]2=W2(tn)−W2(t0)=W2(t)−W2(0)=W2(t)=k=1∑nΔW2(tk−1)=k=1∑nσ2(tk−tk−1)=σ2tこれを代入すると
X(t)=X(0)+2bW2(t)−2bσ2tとなるため、矛盾が生じない。